さんぽが大好き
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■ツマグロヒョウモン観察日記
 
ツマグロヒョウモン わたしのツマグロヒョウモン観察は、我が家のベランダにやってきた、この1匹のきれいな蝶から始まりました。それまで昆虫というものにあまり興味を示さなかったのですが。それが何故?かというと、やはり相方の影響が強いのかもしれません。相方は大の昆虫好き。それに、こんなきれいな蝶あまり身近にいませんでしたよ。(正直言うと興味がなかったからよく見ていなかったのかもしれませんが)。一目で魅かれてしまいました。
我が家のベランダで花や植物を育て始め、パンジーを置き始めたのが2005年の秋。それまでは仕事をしていたせいか、花を育てることが難しかったのと心にゆとりがなかったのであきらめていました。仕事をやめて、ふと花屋に立ち寄ったとき、花の美しさにあらためて魅せられました。
今ならやれるかも。そう思い、一鉢、二鉢、我が家のベランダガーデンに植物が段々と増えていきました。
昨年の秋、ビオラパンジーをネットで注文し、早速ベランダで育てはじめることに。それからは水やりと花摘みの毎日。でも、私を一番困らせたのはアブラムシです。殺虫剤をまいてもあまり効果はありませんでした。それに薬はあまり好きじゃないし。毎日害虫との奮闘。ところが、ヒラタアブの幼虫がアブラムシを食べてくれるようになり大助かりでした。イモムシ、毛虫が嫌いな私がこれほどありがたがったことはありません。害虫を食べてくれる虫は大歓迎。そしてやがてたくさんの虫(蝶やあぶ)たちがやってくるようになったのです(下の写真)。
     

 

そんなある日の午後、1匹のツマグロヒョウモンがやってきて、ランタナの蜜を吸っては飛び回り、何度も繰り返していたかと思うと、パンジーの花の周りで旋回し、蜜を吸っては羽を休め、また飛び回っていたかと思うと、ひらひら、ひらひらとわたしの足元へも。それから再びパンジーの花の中へ入った瞬間、お腹を葉っぱにこすりつけ卵を産み付け始めました。

2005年11月
蝶の産卵なんて初めて見ました。
貴重な経験をさせてもらい、撮影にも成功。
ツマグロヒョウモンの卵
小さすぎて気づきません。
2005年12月
まだまだ小さい。親指のつめくらいの大きさ。
でも、ツマグロヒョウモンらしきからだの色はもう表れています。
2006年1月ようやく小指の第二関節ぐらい。暖かいと上まで這い出してきます。どうやら日向ぼっこが好きらしい。でも鳥に食べられないかひやひや。この頃になると、からだはオレンジ色が強くなってきました。
2006年3月
体長4センチくらい。からだの棘もオレンジ色です。
これまでに7匹の幼虫を発見。
しかし、残念なことに3匹が蛹になる直前にいなくなってしまいました。そして1匹は足元に墜落。惨めな死を遂げました。
2006年3月、ツマグロヒョウモン第一号が蛹になり始めました。しかし、ここからが問題。蛹になったはいいが、なかなか羽化しません。ネットを調べるとだいたい蛹になってから2〜3日中には羽化するようですが・・・
うちの第一号は全然動きません。実は死んでしまっているのかも知れません。寄生蜂にやられてしまったんだと相方は言います。ずっとこの姿のままなのでしょうか。
それにしても蛹の実に美しいこと。よく見ないとわかりませんが、体の下のほうに銀色のきらきら光る突起のようなものがあります。まるで金属でできているかのよう。昆虫は自然界で一番不思議ないきものではないでしょうか。

そんなこんなで、残りの幼虫を最後まで見届けようと飼育ケースを買うことにしました。届いたケースに新しく買ってきたパンジーを入れ、残りの2匹を移し変えました。すると2分で鉢の外に這い出してしまいました。「きっとパンジーが美味しくないんだ。薬のにおいが残ってるんじゃないのかなあ」。あきらめて元の場所に戻し、買ってきたパンジーはしばらく風通しのよいところに置いて臭さを消すことに。

あれから2週間。残りの2匹もだいぶ大きくなりました。さて、そろそろ再度挑戦してみますか。再び新しいパンジーへ2匹とも移動。今度は成功!!2匹ともパンジーの葉を美味しそうに食べ始めました。そしてしっかりうんこも。ケースに移し変えてこれで蛹になるまで準備万全。

 

2006年4月9日
夕べ、外出先から帰ってくるとツマグロヒョウモン第一号(勝手に太郎と命名)が蛹から蝶になっていました。相方が蛹の様子が違っているのに気がついたのですが、蛹のそばには蝶の姿はありません。しばらくして「あっ、」と言う声。なんと、少し離れた枝に、太郎がじっと止まっていたのを見つけたのでした。
今朝、もう一度見てみるとまだ、同じ場所に太郎の姿がありました。全然動きません。まだ寒いのでしょうか。
12時ごろ、太陽の光が太郎を照らし始めると、太郎は大きく少しづつ羽を広げ、ぱっと飛び立ちました。ベランダの端まで行くと、そこから外へ向かって飛んで行き、大きく旋回して戻ってきたかと思うと、今度は反対のほうへ飛んで行き、やがて姿が見えなくなりました。
太郎です! 感動!!
太郎が羽化した後の蛹ですが、もうあの突起に輝きはありませんでした(写真左は羽化前。写真右は羽化後)
不思議ですね。いったいあの輝きはどうやって出しているのでしょうか。

 

2006年4月13日
今日の夕方六郎(7匹のうちの6番目ということで「六郎」と名付けました)が飼育ケースの天井にへばりついていました。そろそろ蛹になる練習でもしているのでしょうか・・・
2006年4月17日
六郎が蛹になりました。太郎のときと同じようにきれいな銀色の光る突起が見えます。残る七郎(一番最後の幼虫です)は、相変わらずむしゃむしゃ食べまくっています。アップで撮るとこちらに気づいているのか、顔をむくっとあげ小さな目で見つめているような気がします。君も早く蛹になって元気に飛び立ってよね。
あどけない目で見つめられると・・・
 
2006年4月18日
朝から七郎の動きがあやしい。どうも落ち着きがないのです。鉢から這い出し、飼育ケースの端を行ったりきたりしています。飼育ケースの中には、蛹になるときに困らないように割り箸を立てかけてありますが、七郎はその割り箸を上っていきました。もしかして上に上がりたいのでしょうか。上りきったところで、今度はパンジーの花に飛び移ろうと、お尻を振っていますが届かない様子。いったい何がしたいのでしょうか。
しばらく動き回っていましたが、そのうちどうやら落ち着きました。今日も七郎は蛹にはなれませんでした。

2006年4月19日
七郎がとうとう居場所を見つけたのか、パンジーの枝にぶら下がり蛹になり始めました。明日かあさってには六郎と同じ姿になるでしょう。

六郎(突起部が金色) 七郎(頭に血がいかないですか) 六郎を見ていて思ったのですが、この子はひょっとして花子(メス)?なのではないでしょうか。
蛹のお腹のあたりにある突起部が金色に輝いているのです。
太郎のときは銀色だったので、もしかしたらメスなのかもと、勝手に思ってしまいました。実際はどちらなのかますます羽化が楽しみです(^^)。
2006年4月20日
朝、7時ごろ七郎は昨日の姿でぶら下がったままかと思っていた直後、とうとう最後の脱皮を行いました。残念なことにその瞬間をカメラに収めることはできませんでした。でも、服を脱ぎ捨てた下にはあの蛹の服を着ているのですから、ほんとに昆虫の世界って不思議です。
なったばかりの蛹はやわらかい感じですが、見る見るうちにお尻のほうから色が変わっていきました。
突起部はまだ乳白色です。

2006年4月21日

七郎が完全な蛹になりました。

突起部分を見ると今度は銀色をしています。やはりこの突起の色はメス、オスに関係があるのでしょうか。ますます謎です。
あとどれくらいで羽化するのかわかりませんが、太郎の時も予想以上に時間がかかったのでまだ先なのかも知れません。


早く見たい!!

 

2006年5月8日
蛹になって21日目、六郎がとうとう羽化しました。前の晩、相方が急にそわそわし始めました。まるで蛹になる前の幼虫のように。「明日、もしかしたら羽化するかもしれないよ」。「どうしてわかるの?」「黒くなってきたから」「へえ〜、わかるんだ」。
案の定、5月8日早朝、六郎は羽化していました。さすが昆虫博士。
今回びっくりなことに、飼育ケースの底に、直径500円玉くらいの大きさの赤い液体のようなものがこぼれていました。蝶が羽化するとき、体から赤い液体のようなものを出すのだそうです。初めて知りました。太郎の時は気がつきませんでしたが、飼育ケースの中でははっきりとそれが確認できました。きれいな朱色です。まさしく自然界の色。またまた神秘的ですね。
羽化した後、時間が経つにつれて羽の色に変化が。
太郎の時と同じように六郎はじっとしています。9時頃、花に水をあげているとき、六郎が少し移動していました。その瞬間を見たわけではないのですが、確かにさっきまでは抜け殻に止まっていたのですが、そこからわずか10センチ離れたところに止まっていました。羽は広げていないので、少しづつ這っていったのでしょう。
よく見ると、羽を少しだけ震わせているように見えます。寒いのか、振動で震えているのか定かではありませんが。もっと見ていたい気もするのですが、そういうわけにもいかないのでちょっと残念です。こういうときに監視ビデオでもあればいいなあと思います。
明日には羽を広げて飛び立っていくことでしょう。
あ、忘れていましたが、六郎もオスでした。金色に光っていた突起物は関係ありませんでしたね。

2006年5月9日

寒いのか六郎は昨日の場所でじっとしています。今日は放すため、飼育ケースから六郎を出し、マーガレットの花の上にそっと乗せてあげました。動かすときだけ羽をちょっとだけ広げるのですが、すぐに閉じてしまいます。
気温が低いので、蝶はじっとしているしかないんですね。

外出先から帰ると、もうそこには六郎の姿はありませんでした。きっと午後になって気温が上昇したので飛び立っていったのでしょう。元気で

2006年5月11日

最後の一匹七郎がついに羽化しました。まだかまだかと昨日からそわそわしていた相方もやっと安心した様子。
相方は羽化した瞬間、またオスだったよ、とちょっとがっかりした様子で会社に出掛けて行きましたが、実はこのあと大どんでん返しがありました。ふふ・・・七郎は実は七子だったのです。なのでここからは七子(なな子)と呼ぶことにします(^^)。なな子はだんだん羽を広げるようになり、白い紋の形がくっきりと見えるようになりました。

飼育ケースの中でなな子は段々と移動するようになり、表に出たいのか羽を動かすようになりました。さて、いよいよ飛び立ちますか。ケースのふたを開け、なな子を六郎のときと同じようにマーガレットの花の上に。寒いのかなな子はじっとしたまま。羽も閉じたままです。

なな子で〜す。
9時頃、風も穏やかになり空がやや明るくなってきました。しばらくすると、なな子は大きく呼吸するように羽をゆっくりと広げ、何度もそれを繰り返していました。飛び立つ練習でもしているのでしょうか。状態を少し上げる練習もしているようです。でも、またすぐに羽を閉じて動かなくなりました。
小さなストローをくるくるっと伸ばしては、またくるくるっと引っ込める。繰り返しているうちにとうとう蜜を吸いました。
11時頃、なな子はマリーゴールドの花の上に移動していました。口からストローのようなものを出しては引っ込め、出しては引っ込めを繰り返しています。時には花から落下してしまっているので、再び花の上に戻すのですが、しばらくするとまた下に落下していました。
なかなか飛び立っていってくれません。ちょっと心配になってきました。
うっとりするような羽の色。透かしてみると本当にきれいだなあ。
本当はずっといて欲しいけど、でもやはり飛び立っていって欲しいよ。
午後4時ごろ、まだなな子は花の上にいました。今日は曇っているから飛ばないのでしょうか。それとも飛べないのでは?なな子が無事に飛び立っていってくれないと観察日記が終われないなあ(^^;)。
午後6時、なな子はただいまマリーゴールドの上で睡眠中。今日はもう飛ばないね。おやすみ(^^)。
   
2006年5月12日
なな子が飛んでくれません・゚・(ノД`)・゚・
飛ぼうとして何度も鉢から墜落してしまいます。午後から陽が差してきて温度も上昇してきたのですが、一向になな子はじっとしたままです。しかも足も少し弱っている様子。しっかりと両足で立つことができないみたいです。
夕方、気温が下がり寒くなってきたので、なな子を一旦飼育ケースに戻しました。
夜、相方が弱っているなな子を手のひらに載せ、さとう水を与えるとなな子は少しだけストローを伸ばし、吸ってくれたのです。
でも、完全に衰弱しています。羽化が完全ではなかったのでしょうか。羽化するには気温が低すぎたのでしょうか。
そういえば、幼虫から蛹になるときも、なな子は高いところへ登ることすらできなかったようでした。このときから弱かったのかもしれません。
2006年5月13日
朝から気温が低く寒かったので、なな子を入れた飼育ケースを家に入れました。外ではもう無理だと思いました。
ちょっとだけ羽を動かすときがあるのですが、完全に弱っています。私たちは「元気になって!」と祈るしかありません。
2006年5月15日
羽化から4日目、相変わらずなな子は飛べません。方向転換すらままならないようです。後ろの左足が弱いのか立ち上がることができず、重心が左のほうに倒れてしまいます。時折、さとう水を飲むけど、全然動かないのに飲んでばかりじゃ太って飛べないのではないでしょうか。もしかしたら、幼虫の時代にパンジーの葉っぱをいっぱい食べ過ぎたのが原因かもしれません(かなり食べてたもんなあ・・・・^^;)。
2006年5月20日
なな子が羽化して9日目。日に日に衰弱しているように見えます。最近ではさとう水を飲むのもやっと。支えてあげていないと、さとう水に顔を水没させてるんじゃないかとひやひやもんです。排泄はしているので消化器官には問題はないようですが。
2006年5月24日
なな子のお腹が破れてしまいました。苦しそうです。お腹から膿が出ていますが、どうしてあげることもできません。ただただ、見守るばかりです。逝かせてあげたほうがいいのでしょうか。自然に任せるのがいいのでしょうか。でも、何もできずやはり見守ることにしました。
2006年5月28日
なな子のお墓です
なな子が息をひきとりました。5月11日に生まれてから今日で17日間生きていたことになります。生まれたときから飛ぶこともできなかったなな子は、蝶としては幸せではなかったかもしれませんが、一生懸命生きたことを思えば神様も喜んでくれることでしょう。わたしたちもなな子からたくさんの幸せをもらったのですから。
これでわたしのツマグロヒョウモン観察日記はおしまいです。昨年の暮れからいろいろな経験をさせてもらいましたが、一番うれしかったことは、第一号の太郎が元気に飛び立っていってくれたこと。そして一番悲しかったことは、もちろんなな子が飛べなかったことです。