3月11日≪冬の釧路へ降り立つ≫
相方が前日遅くまで仕事のため、釧路へはお昼の飛行機で行くことにした。今回もマイレージを利用しての旅行。カードのポイントをマイレージに変換するのは絶対によい。国内運賃(特に釧路は高い)は本当に高いのでこういう時に利用しない手はない。相方はマイルがあったのでただ。お供で割引を利用したわたしは21,500円を追加するだけで釧路を往復できる。
カメラは、オリンパスE−1と、E−300、それからマクロレンズも忘れずに入れた。10時頃家を出て駅に向かうといつものようにボロちゃんがいた。あれ?あそこにもいる。今日は2羽の白鷺が川の中にいたのだ。相方がボロ1号、ボロ2号と名付けていた。では行って来ます。ボロちゃん達に別れを告げた。
新しくなった羽田のエアターミナル。今まで釧路便はバスで移動だったが、今回は違った。でも搭乗口までは遠い。それにしても歩く歩道って何でみんな立ち止まってるんだろう。乗らずに歩いたほうが早いのに。しかも右側急ぐ人のために空けなさいよ!!
1時間30分ほどで釧路空港へ到着。いつもながら降下が始まると耳が痛くなるのは我慢がならない。原因がわからないので治療のしがいがない。あのつらさはいったい何なんだろう。私だけなんだろうか。上昇するときは痛くないのに・・・不思議だ。
釧路の今日の天候は雪。雪の湿原もまた実にいい。タンチョウさんを見るには絶好の天気。だが、でも寒い。空港へ着いてからまずは腹ごしらえ。いつもの店で海鮮丼を食べたというか他に選択肢がないだけ(^^;)。
   
≪鶴居村(サンクチュアリ・鶴見台≫
宿に行くにはまだ時間が早かったので、この時期タンチョウさんが集まる鶴居村(サンクチュアリ、鶴見台)へ行ってみることにした。話によると昔は200羽近くのタンチョウさんが集まっていたという。
次から次へと舞い降りたり踊ったりたくさんのタンチョウさんが餌を求めにやって来ていた。この時期はタンチョウさんの繁殖期なので交尾のたびに美しい舞が見られる。かつてこれほどの数のタンチョウさんを見たことがない我々は興奮しまくり、メモリの容量も忘れるくらい撮りまくった。ふと、鼻水がとまらないほどの寒さに我に返った。細かい雪だが、顔にあたるとさすがに冷たい。最初、ひゃ〜釧路の雪ってしょっぱい?大昔この辺海だったからかも、と思っていたら自分の鼻水と涙だったのだ(^^;)。
宿についてご夫妻と久しぶりにおしゃべり(奥様とは3ヶ月ぶりの再会)。話が弾んだ。窓の外には昨年と同じ風景が。アカゲラ、カケス、ツグミ、シジュウカラなどが餌をつついていた。
    
    
≪3月12日 シラルトロ湖の散策≫
午前中シラルトロ湖まで散歩することに。雪はすでに止んで今朝は太陽が少し見え始めていた。昨日の雪で空気が冷え込み、雪は40センチほど積もっていたがしっかり防寒。長靴を履いて出発。除雪車がちょうど道路に積もった雪を取り除くのに何往復もしていた。我々が通る歩道まで帰る頃にはしっかりときれいに雪が除かれ、しかもおまけに天気だったので道路がもう乾いている。恐るべし除雪車。
湖畔まで降りるには雪が邪魔だ。さっきの除雪車はさすがにここまではやってくれないよなあ。あたりまえだ。これだって税金なんだから。湖畔まで雪を踏みながら道をならして行くがきつい。だいぶ汗をかいたが、いい運動になったかも。やっとのことで湖の畔までたどり着いた頃には汗と鼻水と涙で顔中がめちゃめちゃに(^^;)。でも湖からの風が気持ちよくてつらさも忘れた。遠くに鹿の親子の群れが10頭近く見える。この時期は餌を求めに人里までやってくる。そういえばコッタロ湿原にも30頭近く、いやもっといたな。恐らく付近にはもっといただろう。
鹿は、アイヌでは神としてあがめられていないそうだ。ふ〜ん、しし神様じゃあないんだ。どっかでは鹿が増えすぎて鹿肉の料理まで紹介していた。鹿の肉って美味しいのかなあ・・・
    
    
だいぶ運動したのでお腹も空いた。駅まで歩いてくるとにわかに人の出入りが激しくなった。大げさかもしれないが、こんな小さな駅では5人も人がいるのはめずらしいことなのだ。しばらくすると遠くからものすごい噴煙と共に汽笛の音。なんとSLが走ってきたのだ。そういえばこの時期釧路市内から網走までSLを走らせていた。急に駅が騒がしくなって皆写真を撮り始めた。タンチョウさんが居なくて良かった。タンチョウさんにはこの騒がしさはちょっと迷惑だから。
    
静かになった夕方、夕焼けが見れるかもしれないと思い、外に出て見ると、タンチョウさんの親子が2組やって来ていた。相方と夕日が沈むのを待っていると、1組のタンチョウさんが踊り始めた。あ、と思った瞬間タンチョウさんは交尾を行いダンスを始めた。もう夕日はそっちのけでタンチョウさんの舞を撮ろうと必死になる自分。でもカメラを三脚に取り付けていたのでまた設置しなおさなければならずまたもやシャッターチャンスを逃した。
 
 
「いや〜ん、恥ずかしい。みないでえ〜。」
≪3月13日 氷の結晶≫
宿のご主人が早朝なら氷の結晶が撮れるかもしれないということで、6時半ごろ宿のご主人と、泊り客のSさん、相方と4人でシラルトロ湖まで出掛けた。昨日のうちに道をつくっておいたので湖畔まで出るのにはそう苦労はなかった。今朝は少し暖かかった(暖かいといっても氷の結晶が出来るほどの寒さだ)ので思うような形は望めなかったが、でも初めての撮影にしてはいい感じ。
一応三脚は持っていったのだが、ご主人が三脚を貸してくれてセッティングしてくださった。氷の結晶を撮るというのは簡単な事ではない。マクロレンズで撮るわけだから、氷から10センチから20センチの位置で固定して構図を決める。氷が薄いので氷の上に乗ってしまうと割れてしまう。体制がつらいのだ。ひえ〜腰が痛い。なまっちょろい体の私は情けない体制でおどろおどろでシャッターを切る。その姿は実に笑える。でも撮影の成果はご覧の通り。ご主人の撮る写真とは雲泥の差だが(^^;)。ご主人のお陰。
お腹も空いてきた頃なのでそろそろ引き上げ。遠くで鹿の親子がこちらの様子を伺っていた。
    
    

≪求愛ダンス≫
午後2時の便で東京に戻らなければならないので、9時45分の釧路行きの列車に乗ろうと思っていたが、泊り客のSさんが車で空港まで連れて行ってくださることになったので、ゆっくり出来た。Sさんというのは、5年ほど前にもこちらに訪れたことがあるらしく、我々とも話があった。釧路湿原の中の小さな宿でこうして知らない人とお友達になれるのもこの宿ならではのこと。旅の醍醐味は釧路の自然だけではありませんね。
しばらくお話をしてお茶を飲んでいると、タンチョウさんがやって来た。相方とSさんは写真を撮りに出て行った。私は部屋の中から様子を見ることに。ご主人と奥様と3人でお話をしていると、突然タンチョウさんの声が聞こえた。「ダンスが見られるよ」。ご主人が急に部屋を飛び出していき、2階へとかけ上がった。奥様が「2階に行ったほうが良く見えますよ」とおっしゃったので私も2階へ上がった。2階の窓からは遠めだが様子が良く見える。3羽のタンチョウさんは、白銀の雪を舞台に優雅な踊りを魅せてくれた。交尾が終わるとダンスはおしまいと我々は思っていたが実はそうではなかった。「終わったあとが素晴らしいんだよ」とご主人。本当にその通りだ。
 
うれしいのか、喜んでいるのか無邪気に飛んだりはねたりしている。「かわいい〜」。このときほどタンチョウさんを可愛いと思ったことはなかった。子供が親にほめられた時にからだいっぱいでそのうれしさを表現することがあるが、そんな感じだ。タンチョウさんの踊りがこれほど素晴らしいものとは思っても見なかった。この感動は一生忘れないな。
この機会を与えてくださった六花のご主人と奥様には本当に感謝です!!またいつの日か冬の湿原に、タンチョウさんに会いに来よう。我々はこの美しい自然をいつまでも守っていきたいです。
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