さんぽが大好き
menu menu menu menu menu menu

■ 神様からの贈り物


  そろそろ冬支度をしないといけないな。そう思いながら木は衣
  替えをします。
  緑色から黄色、赤、オレンジ、ピンクなど様々。

 

  はるか北の森では、ダケカンバの家族がそろそろ衣替えの準備
  をしていました。
  すると、今年やっと3歳になったばかりの子供が言いました。
  「お母さん、どうしてぼくは黄色の服を着なければいけないの?」 
  お母さんは言いました。
  「それはね、神様が与えてくれた贈り物だからだよ」。
  「昔、昔、私たちにまだ服がなかった頃、神様がやってきてこ
  うおっしゃったんだよ」。

 

  「お前たちには黄色の服を授けよう。秋になったらこの服を着
  るがいい。そうすれば、動物達が木の実を探す道案内になる
  だろう。それに見るがいい。湖に映ったお前達の美しい姿を」。 

 

  それを見ていたナナカマドが言いました。
  「神様、私たちにも同じ服を」。
  すると神様は言いました。
  「お前達には赤色の服を授けよう。同じ服では動物達も困るだ
   ろう」。
  ナナカマドは湖に映った自分の姿を見てうっとりしてしまいました。

 

  すると他の木が一斉に騒ぎ始めました。
  「どうか私たちにも服を」。
  「いいえ。私たちが先です」。
  神様はそれから大忙し。なにせ森の中にはたくさんの木が立っ
  ていたからです。

 

  すべて終えてから神様は木たちにこう言いました。
  「お前達よく聞くがいい。その服はだんだんと色を変えしまい
  にはからだから落ちてしまう。でも驚いてはいけない。それ
  は新しい命の誕生を迎えるためなのだ。
  冬の間にはがれ落ちた服が暖かい寝床となるだろう。
  春になれば美しい緑色の服が着れるだろう。
  そして秋にまたその服を着るがいい」。
  そう言って神様は消えてしまいました。

 

  それから毎年、毎年、木たちは神様の言うとおりに季節ごとに
  衣替えをするようになったのです。

 

  ある晴れた朝、衣替えを終えた一本の木から水がしたたり落ち
  る音がしました。
  朝の光を反射しながら、そのからだ全体で思いっきり深呼吸す
  るかのように

さんぽ日記
tomochanelcafe
buonobuono